McKinsey/BCG/Bain の現役プリンシパル経験者が口を揃えて言うのは「ChatGPT は提案書の下書きマシンではなく、構造化のスパーリングパートナーとして使え」という一点。本稿では Pyramid Principle と SCQA を ChatGPT に正しく実装する具体プロンプト 20 例と、現役が実際に提出した提案書テンプレ 5 枚(フォーマット)を公開する。
- 要点1:MECE と Pyramid Principle を ChatGPT に「役割」として固定する書き方
- 要点2:SCQA(Situation/Complication/Question/Answer)でエグゼクティブサマリを 5 分で生成
- 要点3:提案書テンプレ 5 枚(表紙/エグゼサマ/論点/提言/実行プラン)の流用フォーマット
対象読者:外資コンサル現職/コンサルポストへの転職検討者/PE・M&A・事業会社 CxO 候補(30-40代)/今日読んで使えること:今書いている提案書の構造を 30 分で立て直すための ChatGPT プロンプトと、コピペで使える Pyramid テンプレ。
「提案書を ChatGPT で書く」とドヤ顔で言うコンサルほど提案が通らない。これは私が McKinsey 出身の現職パートナー(個人特定回避のためBCG/McKinsey/Bain の現役シニア15名インタビューとして集約)と話していて何度も出てきた話だ。
理由はシンプルで、外資コンサルの提案書は「中身が新しい」から評価されているのではなく、構造が壊れていないから評価されている。Pyramid Principle、MECE、SCQA、Issue Tree——これらは「思考の見せ方」のプロトコルであり、ChatGPT に「提案書を書いて」と丸投げしても、このプロトコル違反のテキストが量産されるだけだ。
本稿は、私が Uravation のキャリア個別コーチングで実際に外資コンサル転職者・現役コンサルに渡している「ChatGPT を Pyramid 思考のスパーリングパートナーにするフレームワーク」を、プロンプト 20 例と提案書テンプレ 5 枚で完全公開する。
なぜ ChatGPT に「提案書書いて」と頼むと外資コンサルでは即落とされるのか
BCG ロンドンオフィスで 7 年プロジェクトリードをやっていた知人(取材時点で別ファームのプリンシパル)に「ChatGPT で提案書書いてる若手をどう評価するか」と聞いたら、即答で「ロジックの背骨がない」と返ってきた。
具体的にはこういう症状が出る:
- 結論が複数並列で出てくる(Answer First が崩れている)
- 「3つのポイント」が MECE になっていない(重複と漏れがある)
- So What? が言語化されていない(事実の羅列で終わる)
- エグゼクティブサマリが本文の縮小版になっている(CxO は読まない)
- 「ご提案」「弊社」のような社内営業っぽい敬語が混ざる
これは ChatGPT が悪いのではない。プロンプトが「ChatGPT に何のロールで何を出させるか」を指定していないだけだ。McKinsey の Pyramid Principle(Barbara Minto 著『考える技術・書く技術』が原典)を ChatGPT に正しくインストールすれば、提案書の構造は崩れない。
Pyramid Principle を ChatGPT に正しく実装する:4 つのコア原則
Pyramid Principle は Barbara Minto が McKinsey 在籍時に体系化した思考整理法で、現在も McKinsey/BCG/Bain の標準教材として使われている。4 つのコア原則を ChatGPT のシステムプロンプトに固定するだけで、出力品質は一段上がる。
原則1:Answer First(結論から書く)
提案書の最上段に「提言(1文)」を置く。理由・根拠・データはその下に階層化する。ChatGPT のデフォルトは「分析→結論」順なので、明示的に逆順を指定する必要がある。
原則2:MECE(漏れなくダブりなく)
提言を支える 2-3 個の柱が、相互排他かつ全体網羅であること。ChatGPT に「MECE で 3 つ」と書くだけでは不十分で、「軸名を先に決めてから分類しろ」と指示する。
原則3:So What? / Why So?(縦の論理)
上位の主張に対して「だから何?」(So What?)、下位の根拠に対して「なぜそう言える?」(Why So?)の問いが両方通ること。ChatGPT に各階層で自己レビューさせる。
原則4:Grouping(横の論理)
同じ階層の項目が同じ抽象度で並んでいること。「市場規模・競合分析・組織体制」を並列にすると抽象度がズレる(市場と競合は外部、組織は内部)。
プロンプト20例:ChatGPT で Pyramid 提案書を作る完全レシピ
以下は私が実際に使っているプロンプトテンプレートだ。必ず ChatGPT の「カスタム指示」または GPT-4o/o1 のシステムメッセージに先に入れること。会話の途中で挿入しても効きが弱い。
システムプロンプト(最初に1回だけ)
あなたは McKinsey でシニアパートナーを 10 年務めた戦略コンサルタントです。
すべての出力は以下の Pyramid Principle に従ってください:
1. Answer First:結論を最初の 1 文で書く
2. MECE:柱は 2-3 個で相互排他・全体網羅
3. So What? / Why So?:各階層で自己検証
4. Grouping:同じ階層は同じ抽象度
口調:簡潔・断定形。「〜と考えられます」「〜かもしれません」は禁止。
出力前に必ず「この提言は MECE か?」を内部チェックしてから出力。
プロンプト1:論点を 3 個に MECE 分解する
クライアント:[業界・売上規模・課題1行]
状況:[3行で説明]
このクライアントの課題を MECE な 3 論点に分解してください。
分解軸を「軸名:〇〇」で明示し、各論点が他の論点と重複しないことを 1 行で説明してください。
プロンプト2:論点ごとに Issue Tree を 2 階層下げる
論点1「[論点名]」を、Issue Tree 形式で 2 階層下げてください。
- 第2階層は MECE な 3 つの sub-issue
- 第3階層は各 sub-issue について検証すべき問い 2 つずつ
Markdown のネスト箇条書きで出力。
プロンプト3:論点を「打ち手仮説」に変換する
論点「[論点名]」に対する打ち手仮説を 3 つ提示してください。
各打ち手について:
- 効果(数値で示す。難しければレンジ)
- 実行難度(H/M/L)
- 前提が崩れる条件
を表形式で。
プロンプト4:SCQA でエグゼクティブサマリを作る
以下の提案を SCQA フォーマットでエグゼクティブサマリにしてください:
- Situation(前提となる状況・読み手が同意する事実)
- Complication(その状況を覆す変化・新事実)
- Question(クライアントが直面する問い)
- Answer(提言1文)
提案内容:[提案の要約]
制約:合計 200 字以内。CxO が 30 秒で読める粒度。
プロンプト5:提言文を「動詞+目的語+数値」に直す
以下の提言文を、必ず「動詞+目的語+数値(または期限)」の形に書き直してください:
[現状の提言文]
NG 例:「組織を強化する」
OK 例:「2026年Q4までに営業組織を3部門に再編し、商談化率を15%引き上げる」
プロンプト6:MECE チェッカー
以下の項目リストを MECE 観点で診断してください:
[項目1, 項目2, 項目3...]
出力:
1. 分解軸は明示されているか
2. 重複している項目はあるか
3. 漏れている項目はあるか
4. 改善案(必要な場合)
プロンプト7:So What? を強制抽出
以下の事実から「So What?」を 3 段階で抽出してください:
[事実1, 事実2, 事実3]
第1段:事実から直接導かれる示唆
第2段:第1段からクライアントに対する含意
第3段:含意から導かれる打ち手仮説
プロンプト8:競合分析を 5 forces で構造化
業界:[業界名]
クライアント:[企業概要]
Porter の 5 Forces で業界構造を分析してください。
各 force について:
- 強度(H/M/L)
- 強度の根拠(具体的なプレイヤー名・市場シェア)
- クライアントへの含意
プロンプト9:競合分析を 3C で構造化
クライアント:[企業名]
事業:[事業領域]
3C 分析(Customer/Competitor/Company)を実施。
出力ルール:
- 各 C で「事実」と「示唆」を分けて記述
- 示唆の語尾は「〜である」断定形
- 結論:3C を統合した「打ち手の方向性」を 1 文で
プロンプト10:事業ポートフォリオを PPM で再評価
事業セグメント:[セグメント名1, 2, 3, 4]
各セグメントの売上成長率と市場シェア:[データ]
PPM(Product Portfolio Management)4 象限に分類し、各象限の推奨アクションを「投資/維持/刈り取り/撤退」で提示してください。
撤退判断は売却・統合・閉鎖の 3 オプションを並列で。
プロンプト11:実行ロードマップを 3 フェーズに切る
提言:[提言文]
実行ロードマップを 3 フェーズで設計してください:
- Phase 1(0-3ヶ月):Quick Win
- Phase 2(3-12ヶ月):基盤構築
- Phase 3(12-24ヶ月):スケール
各フェーズで「KPI」「責任者」「想定リスク」を表形式で。
プロンプト12:KPI ツリーを設計
最上位 KPI:[例:営業利益率を 10% から 15% に]
この KPI を 3 階層の KPI ツリーに分解してください。
- 第2階層:構成要素(売上・コスト等)
- 第3階層:第2階層を動かすドライバー(顧客単価・購買頻度等)
各階層の数値目標も併記。
プロンプト13:仮説を「if-then」で言語化
論点:[論点]
検証すべき仮説を 5 個、「if [条件]、then [帰結]」の形で書いてください。
各仮説について「検証方法(インタビュー/データ分析/実験)」を併記。
プロンプト14:Storyline を最初に固める
提案書全体の Storyline を「スライドタイトルのみ」で 10 ページ以内に組み立ててください。
ルール:
- スライドタイトルは必ず「主張文」(「市場分析」のような体言止め NG)
- 順番に読むと提案書全体の論理が通るように
- 最後のスライドは「Next Step」
プロンプト15:スライドタイトルを Action Title に直す
以下のスライドタイトル一覧を Action Title(主張文)に書き直してください:
[現状のタイトル一覧]
NG:「市場分析」「競合状況」「組織体制」
OK:「市場は年率8%で成長、特に地方都市で伸びている」
プロンプト16:エビデンスを 3 種類に分類
主張:[主張文]
この主張を支えるエビデンスを以下の 3 種類に分けて 5 個ずつ挙げてください:
- 一次データ(自社で取れる数値)
- 二次データ(公開統計・調査レポート)
- 質的データ(インタビュー・観察)
プロンプト17:リスク分析を 3 軸で
提案:[提案概要]
実行リスクを「発生確率(H/M/L)× 影響度(H/M/L)× コントロール可能性(H/M/L)」の 3 軸で分析してください。
High/High/Low(高確率・高影響・低コントロール)のリスクを必ず最上位に。
各リスクへの対応策(回避/低減/受容/移転)も併記。
プロンプト18:CxO 想定 Q&A を生成
提案:[提案概要]
聞き手:[CEO / CFO / COO / CIO / CHRO]
聞き手の役職目線で想定 Q&A を 10 問作ってください。
- 質問は「鋭い反論」「Yes と言いたくない理由」を中心に
- 回答は 100 字以内で簡潔に
- 答えにくい質問ほど上位に
プロンプト19:提案書の自己批判
以下の提案書を、対立する立場のシニアパートナーとして批判的にレビューしてください:
[提案書本文]
観点:
1. ロジックの飛躍
2. データの不足
3. 想定が甘い前提
4. 実行可能性の疑問
5. 競合反応の予測ミス
各 5 件ずつ挙げてください。
プロンプト20:ハンドアウトを 1 ページに圧縮
30 ページの提案書を、CxO が 1 分で読める 1 ページハンドアウトに圧縮してください。
構成:
- 上段:SCQA(4 行)
- 中段:提言 3 つ(各 1 行)
- 下段:Next Step(3 行)
合計 400 字以内。
SCQA フレームの自動生成:エグゼクティブサマリを 5 分で作る
SCQA(Situation/Complication/Question/Answer)は Barbara Minto が定義した「読み手に提案書を読ませる導入フォーマット」で、現在も McKinsey の標準。CxO がエグゼクティブサマリだけ読んで「中身を読むかどうか」を決めるための装置だ。
SCQA の構造
| 要素 | 役割 | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| Situation | 読み手が「Yes」と同意する事実 | 業界統計・売上数値・市場前提 |
| Complication | その S を覆す変化・新事実 | 「しかし」「ところが」で接続 |
| Question | 読み手が直面する問い | 提言を導く明確な問いに |
| Answer | 提言(1 文) | 動詞+目的語+数値 |
SCQA の良い例(実在の構造を抽象化したサンプル)
S:当社の主力事業 X は過去 5 年で市場シェア No.1 を維持し、営業利益率 18% を保ってきた。
C:しかし 2026 年に入り、新規参入の Y 社が AI を活用した代替サービスで価格を 40% 下げ、当社の主要顧客 3 社が見積依頼を出している。
Q:当社は価格追随か、付加価値強化か、撤退かをどう判断すべきか。
A:付加価値強化を選択し、2026 年 Q4 までに上位 20 顧客向けにカスタム AI ソリューションを提供開始、平均単価を 1.5 倍に引き上げる。
SCQA は「言われてみれば当たり前」を演出するフォーマットであり、提言が突拍子もないと感じさせないための装置だ。ChatGPT に SCQA を生成させると、しばしば「S が長すぎる」「C と Q が分離していない」エラーが出る。プロンプト4 のように「各要素 50 字以内」と制約を入れると安定する。
提案書テンプレ5枚:流用できるフォーマット
外資コンサル提案書の標準構成は、ファームによって細部が違うが、骨格は驚くほど共通している。以下の 5 枚は、現役プリンシパル取材で「これがあれば最低限の提案書になる」と複数人が挙げた基本フォーマットだ。
テンプレ1:表紙(Cover Page)
- 提案タイトル(クライアント名は入れない/提言の主旨を体言止めで)
- クライアント名・宛先(CxO 名)
- ファーム名・チーム名・日付
- Confidential 表示
NG パターン:「○○社向けご提案資料」のような事務的タイトル。OK 例:「主力事業 X の付加価値強化による収益再構築」。
テンプレ2:エグゼクティブサマリ(Executive Summary)
SCQA で構成。1 ページ完結。CxO はこのページしか読まない可能性が 7 割と思って書く。
- 上段 1/4:S と C(背景)
- 中段 1/2:Q と A(問いと提言)
- 下段 1/4:3 つの柱(MECE)
テンプレ3:論点ページ(Issue Page)
提言を支える 3 つの論点を、それぞれ 1 ページずつで展開。各ページは Action Title(主張文)でタイトルを書く。
- 左上:論点(質問形)
- 右上:結論(Action Title)
- 中央:根拠データ(グラフ・表)
- 下部:So What?(クライアントへの含意)
テンプレ4:提言ページ(Recommendation Page)
3 つの打ち手を一覧で。各打ち手について:
- 打ち手の概要(1 文)
- 期待効果(数値)
- 実行難度(H/M/L)
- 前提・制約
- 第一歩のアクション
テンプレ5:実行プラン(Execution Plan)
3 フェーズ × 主要 KPI のロードマップ。ガントチャート形式が標準。
- Phase 1(0-3ヶ月):Quick Win — 早期勝利で組織の心理を変える
- Phase 2(3-12ヶ月):基盤構築 — 仕組み化と権限委譲
- Phase 3(12-24ヶ月):スケール — 全社展開と外部開示
このテンプレ 5 枚を埋めるための ChatGPT プロンプトは、本稿のプロンプト1〜20 でほぼカバーできる。順番として、プロンプト14(Storyline)→ プロンプト4(SCQA)→ プロンプト1(論点分解)→ プロンプト3(打ち手)→ プロンプト11(ロードマップ)の順で回すと、3 時間で 30 ページ提案書のドラフトが立ち上がる。
McKinsey/BCG/Bain ファーム別「提案書の癖」と ChatGPT 調整ポイント
同じ Pyramid Principle を使っていても、3 ファームの提案書は読むと癖が違う。取材した 15 名の現役・元職を集約すると以下のような傾向だった(個社固有の機密事項は除外し、業界で一般に語られる文化レベルの話に限定)。
McKinsey(マッキンゼー)の癖
- 提言が「Executive を動かす 1 文」に研ぎ澄まされている。提言文の動詞選びに最も時間を使う文化。
- SCQA の Situation を業界統計+クライアント固有数値の「2 段」で書く例が多い。
- ChatGPT を使う場合は、プロンプト5(動詞+目的語+数値)とプロンプト15(Action Title)を3 回ループさせて磨くと近づく。
BCG(ボストン コンサルティング グループ)の癖
- 分析の深さと示唆の量が密度の高い構成。論点ページの So What? が長めで、含意が複数並ぶ。
- Issue Tree の階層が深い(3-4 階層)。
- ChatGPT で再現するなら、プロンプト2(Issue Tree 2 階層下げ)を2 回続けて深掘りし、各 sub-issue に So What? を別途プロンプト7 で抽出する 2 段運用が効く。
Bain(ベイン・アンド・カンパニー)の癖
- 成果(Results)志向。提言の隣に必ず「期待 EBITDA インパクト」「投資回収期間」が明示される。
- 実行プランがガントチャートでなく「Net Promoter / Customer Loyalty 影響」を含む KPI ダッシュボードになりがち。
- ChatGPT で再現するなら、プロンプト3(打ち手仮説)の「効果」欄を必ず金額+回収期間+確率の 3 軸で書かせる。
面接や提案で「ファームらしさ」を出したい時、Pyramid という共通基盤の上に、上記の癖をプロンプトで上乗せする——これが取材で「ファーム別の出力差を最短で出す方法」と複数人から推奨された。
外資コンサル現役が ChatGPT に「させない」3つの仕事
取材した 15 名が口を揃えて「これは ChatGPT に任せない」と言った 3 つの仕事を共有する。
1. クライアントインタビューの設計と実施
仮説の検証はインタビューでしか取れない暗黙知が出る。ChatGPT に質問設計はさせても、実際の対話と「相手の表情の読み」はパートナーがやる。
2. 最終提言の最終判断
提言は「経営者の覚悟が必要な意思決定」を求める。ChatGPT は選択肢の網羅はできるが、その業界・その企業文化での「無理な選択肢」を直感的に外すのはまだ人間の仕事。
3. 価格交渉とエンゲージメント設計
提案書のフィー設定とエンゲージメントモデル(タイム&マテリアル/フィックスドフィー/成果報酬)は、クライアント側の予算サイクルと意思決定者の好みを踏まえる必要があり、ChatGPT に丸投げすると外す。
プロンプト 20 例の「組み合わせ」レシピ:30 ページ提案書を 3 時間で立てる
プロンプト 20 個を単発で使うのではなく、順番と組み合わせで使うのが現役の使い方だ。私が実際に外資コンサル転職者向けコーチングで渡しているレシピを 3 種類紹介する。
レシピA:新規クライアント向けピッチ提案書(30 ページ・3 時間)
- システムプロンプト投入
- プロンプト14(Storyline 10 ページ以内で骨格)— 15分
- プロンプト4(SCQA でエグゼサマ)— 10分
- プロンプト1(論点 3 個に MECE 分解)— 20分
- プロンプト2(論点ごとに Issue Tree)— 30分(論点 3 個 × 10 分)
- プロンプト3(打ち手仮説)— 20分
- プロンプト11(実行ロードマップ 3 フェーズ)— 15分
- プロンプト18(CxO 想定 Q&A)— 15分
- プロンプト19(自己批判)→ 修正反映 — 30分
- プロンプト15(Action Title 化)— 15分
- プロンプト20(1 ページハンドアウト圧縮)— 10分
合計 3 時間。残りの作業時間(通常 1〜2 日)はビジュアル作成・データ裏取り・先輩レビュー反映に使う。ChatGPT で短縮するのは「ロジックの骨格構築」フェーズだけで、品質を上げるのは人間の手作業に時間を回す——これが現役の使い方の核だ。
レシピB:既存クライアント向け追加提案(10 ページ・1.5 時間)
- システムプロンプト投入
- プロンプト4(SCQA)
- プロンプト3(打ち手仮説 3 つ)
- プロンプト17(リスク分析)
- プロンプト11(簡易ロードマップ)
- プロンプト19(自己批判)→ 修正
レシピC:投資委員会向け IC メモ(5 ページ・1 時間)
- プロンプト9(3C で構造化)
- プロンプト8(5 forces)
- プロンプト3(打ち手仮説)
- プロンプト17(リスク分析 3 軸)
- プロンプト4(SCQA で IC 向け要旨)
レシピは固定でなく「クライアント・案件タイプ・読み手の役職で微調整」する。プロンプトインデックスを Notion 等で管理し、過去案件のリンクを貼っておくと、次回からの再利用が一気に楽になる。
よくある失敗パターン4選(取材で頻出)
❌ 失敗1:プロンプトに「提案書を書いて」とだけ指示する
→ ⭕ 役割(McKinsey シニアパートナー)と構造(Pyramid)を最初に固定する。
❌ 失敗2:ChatGPT 出力をそのまま提案書に貼る
→ ⭕ 必ずプロンプト19(自己批判)で叩いてから人間が編集する。
❌ 失敗3:エグゼクティブサマリを本文から要約する
→ ⭕ SCQA を先に固めてから本文を書く。順番を逆にする。
❌ 失敗4:MECE を「だいたい 3 つ」で済ませる
→ ⭕ プロンプト6(MECE チェッカー)で軸名を明示してから分類する。
ケーススタディ:取材で語られた「提案が通った瞬間」3 事例(仮名・抽象化)
取材時の許諾範囲で、業界・企業を特定できないレベルに抽象化した事例を 3 つ紹介する。いずれも Pyramid Principle と SCQA を ChatGPT で再現したことで提案通過率が上がった例として共通言及された型だ。
事例1:製造業 CEO 向け新規ピッチ — 通った理由は「SCQA の C」
大手製造業の CEO 向けピッチで、「S:御社の主力事業は過去 10 年で No.1 シェア」「C:しかし海外新興メーカーが AI 設計で開発期間を 1/3 にしている」という S→C の落差をプロンプト4 で 5 案作り、CEO が最も「ハッとした」C を選んだ。提案後の打ち合わせで CEO 自ら「あの C のスライドが刺さった」と発言したという。
事例2:PE ファンド投資委員会 — IC メモがレシピC で 1 時間短縮
PE ファンドのプリンシパルが、案件持ち込みの IC メモをレシピC で書いた結果、従来 3-4 時間かかっていた IC メモが 1 時間で立ち上がり、空いた時間を「シニアパートナーへの口頭プレゼン練習」に回せた。投資判断のクオリティではなく、説得プロセスへの投資時間が増えたことが意思決定スピードを上げた例。
事例3:CxO 候補オファー時の Strategic Plan — テンプレ 5 枚で「初日感」を演出
ある CxO 候補が次職オファーを受ける際、入社初日に提出する 90 日 Strategic Plan を、本稿のテンプレ 5 枚で構築。SCQA → 論点 3 つ → 打ち手 3 つ → 90 日ロードマップの構造でまとめたところ、オファーレターの初年度賞与レンジが想定の上限で確定したケースが取材中に複数語られた。Strategic Plan の質は採用側の「この人は初日から動ける」確信に直結し、年収交渉の交渉力に転化する。
ハイクラス転職での「ChatGPT × 提案書」の使い方
BCG/McKinsey/Bain の中途採用ケース面接、PE ファンドの投資委員会想定プレゼン、CxO 候補のオファーレター時の「Strategic Plan」提出——いずれも Pyramid 提案書の作法が問われる。
面接前 1 週間で ChatGPT に 業界別の SCQA テンプレ 10 個 × Pyramid 論点分解 10 個を作らせ、紙に印刷して暗唱できるレベルにすると、ケース面接の「構造化された口頭提案」が一段上がる。これは現役パートナーが面接官側にいる時に最も見ているポイントだ。
逆に「ChatGPT 使ってます」と面接で言うと、「で、どう使ってる?」を必ず深掘りされる。プロンプト4・6・19 のような具体プロンプトを 3 つ以上挙げられないと、評価が逆に下がる。本稿のプロンプト 20 例から自分の業界・自分の論点でカスタムしたバージョンを準備しておくのが正攻法。
よくある質問(FAQ)
Q1:ChatGPT Plus と Team どちらを使うべきか?
A:提案書の機密情報を扱うならTeam または Enterprise。Plus は学習対象に入る設定が残るプランがあるため、現役コンサルは Team 以上が原則。なお最新のプラン仕様と入力データ学習設定は OpenAI 公式(openai.com)で必ず確認のこと。
Q2:Claude と GPT-4o/o1 どちらが提案書向きか?
A:取材ベースでは「論理構造の精度は Claude(Sonnet/Opus)」「瞬発力と速度は GPT-4o」「長文の自己批判は o1」という使い分けが多かった。Pyramid 検証は Claude、ドラフト初稿は GPT-4o、最終レビューは o1 という 3 段ロケットも有効。
Q3:英語提案書も同じプロンプトでいけるか?
A:いける。むしろ Pyramid Principle は英語ネイティブの思考順序なので、英語の方が ChatGPT の出力品質は安定する。日本語で書く場合は「体言止め禁止・断定形必須」を明記すると外資コンサル英文翻訳しても通る文体になる。
Q4:機密情報を ChatGPT に入れるリスクは?
A:Team/Enterprise でも、クライアント名・売上数値・人名は仮名化が原則。プロンプト内で「Client A(売上 X 億円規模)」のように抽象化してから入れる。仮名化のルールも事前に ChatGPT にシステムプロンプトとして固定しておく。
Q5:プロンプトを社内で共有するベストプラクティスは?
A:Notion または GitHub にプロンプトライブラリを置き、「業界 × 論点 × フェーズ」の 3 軸タグで検索可能にする。私は Uravation のキャリアコーチング受講者に「プロンプトインデックスをコーチング 3 ヶ月で 50 個作る」という宿題を出している。
まとめ:ChatGPT は「思考のスパーリングパートナー」
外資コンサルにとって ChatGPT は「下書きマシン」ではなく「Pyramid 思考のスパーリングパートナー」だ。プロンプトを正しく書けば、若手 1 年目が McKinsey シニアの思考フレームを 1 日で再現できる。逆に丸投げ運用は、若手の思考力を奪う最悪のツール化になる。
本稿のプロンプト 20 例とテンプレ 5 枚は、明日の提案書 1 本から使える。まずプロンプト4(SCQA)と プロンプト6(MECE チェッカー)の 2 つだけから始めて、自分の論点で 10 個カスタムする——これが現役パートナー取材で最も多かったアドバイスだった。
Uravation の AI × ハイクラス転職 個別コーチング
本稿のプロンプト 20 例 + テンプレ 5 枚をあなたの業界・職種にカスタムし、ケース面接対策と提案書ドラフトまで 3 ヶ月で完成させる個別プログラム。
- ChatGPT × Pyramid Principle 完全実装
- BCG/McKinsey/Bain/PE 内定者の合格再現
- 年収交渉サポート(外資ファーム平均 +30% 実績)
著者プロフィール
佐藤傑(さとう・すぐる)。株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆。BCG/McKinsey/Bain 出身者・PE プリンシパル経験者を含むハイクラス転職者向けキャリアコーチングを主宰。
出典
- Barbara Minto『The Pyramid Principle』(McKinsey 原典)
- OpenAI 公式:openai.com(GPT-4o/o1 仕様・データ学習設定)
- Anthropic 公式:anthropic.com(Claude Sonnet/Opus 仕様)
- Microsoft 公式:microsoft.com(Copilot for Microsoft 365 のエンタープライズ仕様)
- 本稿のプロンプト・取材内容は BCG/McKinsey/Bain 現役シニア15名インタビューに基づく集約(個人特定回避のため匿名化・取材時期 2026年5-6月)
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